失語症の人って、本とか新聞とか手紙とか・・・「文章」や「文字」を読む事って出来るのかな?
こんにちは~
言語聴覚士のながとです(*・ω・*)
家族が失語症になって、色々と生活が変わって大変かと思います。
失語症って「失う(言)語」と書いて、その字の通り「言葉」が思うように出せなく鳴ってしまいますが、言葉と同様に、日常生活に欠かせない「文字」も読むのが難しくなってしなうのかな?って思っていませんか?

失語症になると、「日本語」が全く読めない状態になってしまったの?
大好きだった新聞や本が読めなくなったり、手紙を貰っても読まずにそのままにしてしまう・・・そんな事になってしまうのかな?
今回は「失語症者は文字を読む事が出来るのか?何て書いてあるのか分かるのか?」についての話しをしていきますね♪
目次(読みたい項目に飛ぶ事も出来ます)
失語症者は文字を読む事は出来ないの?

う~ん・・・。
失語症でも、個人差があるから教科書で書かれているレベルでしか言えないのをご理解下さい。
失語症の方は、(軽度の方を含めて)文字を読む事が苦手なんですね。
とはいえ、書かれている文字が全く読めない訳ではないんですね。
話し言葉と違って書いてある言葉は、文字を消しゴムで消さない限りずっとその場に残っているじゃないですか。
失語症の方は、紙に何て書いてあるかを瞬時に把握する事が苦手でも、時間を掛ければ「ああ・・・こんな事が書いてあるのか」としっかり読む事が出来るんですね。
時間は掛かるかもしれませんが、失語症の方が「ジーッ」と文字とにらめっこを為ている時は、何と書いているのかを頑張って分かろうとしているんですよね。
ちなみに、失語症者は話し言葉と書き言葉のどっちがより苦手かと言うと、文字に残らない「話し言葉」を理解する方が苦手と言われています。
人によりけりなんですよ~。
私が出会った失語症の方は、何を話しているのかを聞き取って理解する事が得意で、書いてある文字がよく分からない( ;´Д`)なんて方もいたんです。
失語症って10人いたら10人全員出ている苦手な部分が違うんですよね~。
失語症は漢字や平仮名はどこまで読める?

というわけで、失語症の方は、(ごく一部の方を除いて)文字を読んで何が書いてあるか分かりますよ~という話しをしました。
文字を読んで何が書いてあるか、まあまあ理解する事は出来るのですが、これが「漢字」と「仮名文字(平仮名やカタカナ)」で、実は「何が書いてあるか分かる!」が変わってくる事があるんですね。

ここでクイズなのですが、失語症の方は「漢字」と「平仮名・カタカナ」のどちらの方が読みやすいか分かりますか(*・ω・*)?
例題として、漢字の「東京」と「とうきょう、トウキョウ」で考えてみて下さい♪
何となく「平仮名やカタカナの方が小さい頃から親しみがあるし・・・簡単そうだし、仮名文字かな~?」って思うかもしれません。
でも、実は失語症の方は「平仮名・片仮名」よりも「漢字」の方が、文字を読んだ時の「何が書いてあるか」が分かりやすいんですね。
なので、例題の場合は「とうきょう」よりも「トウキョウ」よりも「東京」の方が、その文字が何を意味しているのかが理解出来るんですね。
どうして「漢字」の方が理解出来るのかというと、漢字はひとまとまりで「意味」をなしているんですね。
「東京」の漢字2文字だけでも、
・沢山の人口がいて
・池袋、新宿、、渋谷、六本木、銀座・・・色々な区があって
・実は高尾山も東京
みたいに、すぐに「東京」のイメージが作りやすいんですね。
なのでそのイメージを元に、失語症者は漢字を理解していると言われています。
逆に「とうきょう」や「トウキョウ」は文字に起こすと仮名文字ですが、実は一文字一文字が「音」で出来ています。
「と」「う」「きょ」「う」は全て音で出来ているんですよ~。私もびっくりですよ~。
(平仮名は50「音」文字と言いますしね。これ以上ごちゃごちゃ言ったら、大混乱するのでここで止めておきますね(笑))
で、健康な私達は、脳内で勝手に音を文字に変換するので、「とうきょう」と平仮名を読んでも、「ああ。東京の事か」とスッと入ってきますよね。
ですが、失語症者の場合は、この「音を仮名1文字に変換する」事が苦手なんですね。
なので、平仮名や片仮名だけの文はものすごく苦手なんですね。
例えばこんな文は苦手です。
「きょう、とうきょうにいきました」
仮名文字のオンパレードは、失語症の方を大混乱・大パニックにさせてしまうので、
「今日、東京に行きました」の方が「ああ東京に行ったんだ」とイメージしやすくて分かりやすいんですね!

ちなみに、私が訪問におじゃますると、かなりの確率で「50音表」を失語症の当事者に渡している家族の方がいるんですよね。
\(^o^)/OH!
ご家族様のお気持ちは、十分・・・いや十二分に分かるんですよ。
「平仮名やカタカナの方が小さい頃から親しみがあるし・・・簡単そうだし」
がほとんどなんですよね。
ですが、今までの流れで「50音表」が失語症の方にとって便利な物かどうかは・・・分かりますよね(´∀`*)
50音表は失語症の方には「適していません」
50音表でコミュニケーションを取るのではなくて、日常生活でよく使う漢字単語(部屋、風呂、靴、薬、服など)を使ってコミュニケーションを取った方が、失語症の方のストレスも貯まらずに済むんですね。
漢字単語やカナ単語を使ったコミュニケーションの取り方は別の機会に話しますね!

難しい話しをしてしまいましたが、失語症の方は
①平仮名や片仮名が苦手
②日常生活で使う漢字の方が読みやすい
んですね(´∀`*)b
う~ん・・・この話しをすると混乱する可能性もありますが・・・「漢字なら何でもいいんだ!」と思われないように、補足しますね(*・ω・*)
漢字よりも平仮名・片仮名の方が分かりやすい言葉も・・・実は例外的にあります。
例えば、「饂飩」よりも「うどん」の方が分かったりします。
饂飩って言葉はどこで使うんだろう?(・ω・`)漢検?
他にも「薔薇」よりも「バラ」の方が分かりやすい事があります。
ここでの「漢字」は「新聞」や「犬」「お茶」と言った「日常生活でよく見る常用漢字」の事を指しますm(__)m
失語症で文章は読めるの?

今までは、
②漢字と平仮名・片仮名は読めるのか?どっちが読みやすい?
所で、失語症の方は「新聞」や「本」などの長文を読む事は出来るの?って思う時ないですか?
私の経験則の話しだけになるので、参考程度に留めて欲しいですが、軽度の失語症者であれば、新聞や本を読んで何が書いてあるのかを理解する事は出来るかな~と思います。
私の担当していた失語症の方も、長文(言っても10行くらいの文章)を読んで内容を要約するかなり高度な課題をこなしていたので、その人によっては長文を読む事も可能です。
ですが、長い文章(特に新聞とか難しい内容(笑))は、私達だって「うへ~何て書いてあるのか分からん~」とかなり脳みそをフル回転させる事があります。
(私だけかな?)
健康な人間でさえも脳みそフル回転させるなら、脳を損傷している失語症の方が同じように長い話しを読むのは、かなり脳に負担をかける事になります。
逆を言えば、本当に極軽度の失語症(医師の診断や担当の言語聴覚士さんの評価次第ですが)の方以外は、長文はかなりきついかなと思います。
長い文章を読んで貰うよりも、短く書いた文の方が失語症の方の脳の負担もかけずに、読む事が出来るかなと思います。
短い文は例えば・・・
②男の人がご飯を食べる(3つの単語で構成されている文/3語文)
③女の人が赤ちゃんにご飯を食べさせている(4つの単語で構成されている文/4語文)
失語症者は文字を理解する事は出来ない? まとめ
今回は、失語症者は文字は読めないのかどうかの話しでした。
何だか専門的な話しが沢山出てしまったような感じもしますが・・・あなたの参考になれば嬉しいです♪
*今日も一日、お疲れ様でした*
*明日もいい日でありますように*
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